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【画像】 仏プロテスタントの伝統論じる オリヴィエ・アベル氏が講演 2014年6月14日

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 フランスの哲学者ポール・リクール(1913~2005)の愛弟子であり、政治哲学とプロテスタンティズムの観点からリクールについて研究しているオリヴィエ・アベル氏(パリ・プロテスタント神学院教授)が来日し、5月26日に立教大学(東京都豊島区)で講演した。
 アジア・カルヴァン学会日本支部(野村信代表=東北学院大学教授)、日本カルヴァン研究会(同)、リクール研究会(久米博代表=元立正大学教授)が共催し、43人が出席した。司会を田上雅徳氏(慶應義塾大学教授)、通訳を山田智正氏(パリ・プロテスタント神学院、社会科学研究院所属)が務めた。
 アベル氏は「カルヴァンからリクールへ――聖書解釈学と政治神学 フランス・プロテスタントの伝統」と題して講演。フランスのプロテスタンティズムについて、「ジャン・カルヴァンと宗教戦争まで」「ピエール・ベールとジャン=ジャック・ルソーまで」「カール・バルトの影響からリクールまで」の3部に分けて論じた。
 同氏は第3部で、1957年に発表されたリクールの論文「政治的逆説」を引用し、「『政治の中心的問題は、自由である。国家がその合理性によって自由を内部から基礎づけるか、あるいは自由が外部から抵抗によって権力の熱情を制限するか』その両面から考えることが重要」と指摘した。
 その上で、「法治国家の合理性」と「市民の制度への参加」を同時に考えなければならないと強調。「紛争や不一致を解決しやすくするような、秩序だった考えをもつことがデモクラシー社会に重要である。同時に政治の不合理性に、権力の熱情に、組織の悪用に抵抗しなければならない。悲劇的な嘆き訴え、預言者的な約束に例が見出せるような反政治的、無政治的なものにも目を注ぐことが、政治にとって肝要である」と語った。
 アベル氏の来日は、台北でのリクール学会発会式への参加に合わせたもの。24日には京都大学で「〈正しい記憶〉の哲学的諸条件」と題して講演した。


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