――戦後70年という節目にあたって思うことを。
三谷 終戦(8月15日)の1週間前(広島原発投下の2日後)、わたしの住んでいた福山市はB29の爆撃を受けて焼け野原となりました。幸いわたしの家は郊外で難を免れましたが、5㍍先に焼夷弾が落ちました。翌日、市内には数百人の死体が川縁に並べられていました。多くの人々は住む家がなく、野宿しながらの生活が続きました。いったい何のための戦争だったのかと虚脱感に襲われ、生きる目的を失いました。中学4年でした。
2年後に高等学校(旧制)に入学し、人生の目的は何か、何のために生きているのかなどを議論しました。終戦後ですから本はほとんどありませんでしたが、たまたま書店で見つけた岩波文庫の『西郷南洲遺訓』を読み、特に「敬天愛人」の考えに深い感銘を受けました。内村鑑三の『後世への最大遺物』との出会いも忘れられません。彼は後世への最大の遺物はお金でも、名誉や地位や事業でもなく「勇ましい高尚なる生涯である」と言いました。
このような言葉を心に留めながら、戦後を歩んできました。そして33歳の時、キリストに出会い、救われました。その時からわたしの人生は、聖書の言葉に従って生きる力をもらうものへと変わりました。