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【画像】 戦後70年企画 連続インタビュー「本紙標語の実質を問う」(6)芳賀力氏 「聖なる語り」取り戻せるか 2015年10月24日

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――戦後70年を振り返って思うことは?

芳賀 1970年代に流行した「戦争を知らない子供たち」という曲がありますが、まさにわたしはその世代。「戦争を知らない子供たち」であっても、戦争をしてきたこの国に生まれたわけですから、自分の問題でないとは言えない。
 加害者であった者はその歴史に対して真摯に向き合わなければならないし、アジア諸国に対してなしてきたことについて謝るところからしか新しい関係も築けないと思うのです。そういう意味では、敗戦後70年というこの歴史を、それ以前の歴史の延長としてわたしたちは受けざるを得ません。
 もう一つの問題は、戦後のセキュラリズム(世俗化)という問題です。本来の世俗化とは、マックス・ヴェーバーの言う「脱呪術化」なのです。創造者なる神を神とし、被造物である世界を拝まない。
 残念ながら18世紀、神無くして世界を説明するという啓蒙主義的な理性の時代になり、これが世俗化と結び付き、無宗教的なセキュラリズムになった。これが日本の戦後の時代を支配したと思います。
 もう一つ、日本的な現象だと思うのは、世俗的擬宗教化という現象。「宗教よりはこの世の価値」というセキュラリズムが進んでいるはずなのに、依然としてご利益宗教がはやったり、習俗、俗信のようなものがはびこっているわけです。それが祖先崇拝とも絡み、日本人の生活習慣の中に入り込んでいる。これが日本の戦後の奇妙なところです。
 明治維新後の富国強兵、殖産興業を、丸山眞男は「息つく暇もない近代化」と言っていますが、その言葉を借用するならば、戦後は「息つく暇もない経済成長」だと思います。精神の問題をおろそかにし、経済成長を進めてきた。これが、凶悪事件などさまざまな形で社会の中に表れてきているのではないかという気がします。


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