青山学院(東京都渋谷区)は創立140周年を記念し11月15日、国内外の来賓、学院関係者、在校生、保護者、教職員などを招いて青山学院講堂で記念式典を行った。約1500人が出席した。
式典はシュー土戸ポール学院宗教部長の司式で、礼拝形式で行われた。合同メソジスト教会高等教育局ジェラルド・ロード副総幹事がアメリカより出席、「SALT OF THE EARTH, LIGHT OF THE WORLD(地の塩、世の光)」と題して説教を行った。ロード氏は青山学院のスクールモットーである「地の塩、世の光」をこのような行事の際に確認することは大事、として「塩は少しだけで効果がある。日本のキリスト教人口は2%だが、例え少数派であっても人々の模範として生きるために必要」と語った。
その後、卒業生である俳優の高橋克典さんとチェロ奏者の山本祐ノ介さんがそれぞれナレーション、音楽を担当した映像作品「140秒で振り返る青山学院の140年」を上映、続いて「青山学院の歌」の奉唱があった=写真。豊田實第9代院長の作詞、卒業生の團伊久磨氏の作曲で、初等部から大学までの聖歌隊と幼稚園児による〝オール青山聖歌隊〟がそれぞれのパートを歌い継いだ。歌が作られた当時はなかったという幼稚園のパートは昨年、山北宣久前院長が作詞した。園児たちのあどけない歌声に講堂全体が笑顔に満ちた。
150周年に向けて策定した「AOYAMA VISION」を発表した安藤孝四郎理事長の挨拶に続いて、梅津順一院長が式辞を述べ、創立当時、国内外の信徒からの献金に支えられたことに触れつつ、歴史を振り返りながら「世界に奉仕する青山学院を目指して一歩一歩前進していく」展望を述べた。キリスト教学校教育同盟加盟校代表として山内一郎氏が祝辞を述べ、「困難の多い時代で全体の牽引力となってほしい」と激励した。
【画像】 青山学院が140周年を記念 式典で〝オール青山聖歌隊〟が奉唱 2014年12月6日
【画像】 日本福音振興会が功労賞顕彰 村上宣道、内貴八郎右衛門、飯島延浩、田内基の4氏 2014年12月6日
日本福音振興会(泉田昭会長)は11月13日、2014年度日本福音功労賞顕彰式をお茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で行った。村上宣道(お茶の水クリスチャン・センター理事長)、内貴八郎右衛門(日本フリーメソジスト教団明石上ノ丸教会牧師)、飯島延浩(山崎製パン株式会社代表取締役社長)、田内基(社会福祉法人こころの家族理事長)の4氏が顕彰者に選ばれた。
同賞は、日本の福音宣教に永年にわたり貢献した人を顕彰するもので、今年で22回目。
村上宣道(むらかみ・のぶみち)=1933年生まれ。東京聖書学院を卒業後、愛媛県で開拓伝道。その後、日本ホーリネス教団上野ホーリネス教会、坂戸キリスト教会で牧会。太平洋放送協会理事長を経て現在は名誉会長。日本ホーリネス教団委員長、日本福音連盟理事長、日本福音同盟総務局長を務めた。
内貴八郎右衛門(ないき・はちろうえもん)=1928年滋賀県生まれ。大阪基督教学院神学部卒業後、日本フリーメソジスト教団明石上ノ丸教会の牧師に就任して現在に至る。同教団理事長を92年から2期4年務める。全愛学園理事長、大阪キリスト教短期大学理事、日本聖書協会理事。
飯島延浩(いいじま・のぶひろ)=1941年東京都生まれ。一橋大学卒業後、山崎製パンに入社。73年、日本ホーリネス教団池の上キリスト教会で受洗。79年、代表取締役社長に就任。ワールド・ビジョン・ジャパンの設立などに取り組む。池の上キリスト教会で実践的バイブルスタディを22年間開催している。
田内基(たうち・もとい)=1942年、韓国全羅南道木浦市生まれ。父は孤児院・木浦共生園創立者の尹致浩、母は同園に生涯をささげた田内千鶴子。68年、母死去に伴い、同園園長就任。88年、社会福祉法人こころの家族設立。「在日韓国老人ホームを作る会」を発足。韓国社会福祉士協会会長などを務めた。
【画像】 「待降節」にちなんだ聖書ゲーム発売 東京ビッグサイトのイベントでお披露目 2014年12月6日
「遊びながら聖書の世界に親しめる」ことをコンセプトとしたゲームシリーズ「聖書コレクション」の第3作目となるカードゲーム『バイブルハンターアドベント』(キリスト新聞社)が11月14日に発売され、16日開催のイベント「ゲームマーケット2014秋」でお披露目された(東京ビッグサイト、江東区有明)。
このゲームは、今年3月に発売された第1作目の『バイブルハンター』と同じく、使徒や預言者たちの力を借りながら「失われた聖書」を集めていくという設定。「カードの種類を増やしてほしい」というユーザーの要望に応え、アドベント(待降節)にちなんだ「イエスの母マリア」「東方の三博士」など、15人の登場人物が新たに追加。「ベツレヘムの星」「黄金」「乳香」「没薬」のほか、「ソドムとゴモラ」や「バベルの塔」といった有名なエピソードもカード化されている。前作と混ぜても遊べ、『アドベント』単体で遊べるのが特徴。
ゲームデザインは前作に引き続き中村誠氏、監修も日本キリスト教会浦和教会牧師の三輪地塩氏が担当し、日本聖書協会の公式な推薦を得た。
これらの取り組みは11月4日付の「朝日新聞」でも「『聖書のゲーム』若者に人気 危機感から門戸開く試み」として取り上げられ、「日本のキリスト教徒は人口の推定1%未満で、若い信者はなかなか増えない。......そうした危機感が、今回の企画の背景にはある」と紹介された。
ゲームマーケットでは多くの非信徒からも注目され、「ミッションスクール出身なので意味がわかって面白い」「今年のクリスマスパーティーで遊びたい」「誤ったキリスト教知識を訂正するために使えるかも」など、好意的な反応が多々見受けられた。
「聖書コレクション」シリーズは全国のキリスト教書店及び、「イエローサブマリン」系列店などアナログ(非電源系)ゲームの専門店で購入できる。日本聖書協会直営のオンラインショップ「バイブルハウス南青山」では、『バイブルハンター』の前作と『アドベント』を同時購入すると、小型新約聖書が無料でもらえるというサービスも展開中。
【画像】 映画『最後の命』公開記念対談 「罪」と向き合う旅の果てに 松本准平さん(映画監督)×古賀博さん(牧師) 2014年12月13日
柳楽優弥さんの主演や米チェルシー映画祭での最優秀脚本賞受賞で話題を呼んだ中村文則原作の映画『最後の命』。幼少期に凄惨な婦女暴行事件の現場を目撃した幼い2人が、その忌まわしい記憶に翻弄されながら、それぞれの「性」「罪」と向き合い、儚い「生」をつむいでいく物語。監督は長崎で生まれ、カトリック教会で洗礼を受けながら、プロテスタントの教会にも通うという特異な体験を持つ松本准平さん。新進気鋭の監督が見据えるのは絶望か、希望か。映画の公開を機に、牧師として説教者として、数多くの文学に触れてきた古賀博さん(日基教団早稲田教会牧師)との対談が実現した。
【画像】 米キリスト教出版事情に学ぶ 出版販売協会が専門家招き勉強会 2014年12月13日
キリスト教出版販売協会出版部会(髙木誠一部会長)は10月24日、ウォン・ダルチュン氏(元アビンドンプレスディレクター)を招いた勉強会を、東京・銀座の日本聖書協会で開催した。アビンドンプレスはメソジスト教会によって1789年に設立されたアメリカ最大手のキリスト教出版社。ウォン氏の親族である朴憲郁氏(東京神学大学教授)の仲介で実現に至った。
「米国における宗教関係出版の職務の挑戦と希望」と題して語ったウォン氏は、出版社にとって大きな収益の柱は、比較的安価に製作でき、一定部数の販売が見込める教会学校向けの出版物だが、教会学校の生徒数減少に伴い、かつてのような収益は上げることができないと指摘。
さらに読者層の多様化により、書籍1点当たりの発行部数が限られるようになってきており、出版費用の上昇につながっているという。売上を維持するために発行点数を増やさなければならないものの、牧師が1年に購入する書籍は2冊だけという統計もあり、購買力の低下も深刻だ。
他方、アビンドンプレスが2012年に刊行したCEB(Common English Bible)は初年度に75万部を販売。これは福音派を中心に最も広く読まれている英訳聖書NIVと、リベラルなNRSVとの中間に位置づけられる超教派の国際的な聖書翻訳である。
このような状況を踏まえ、アビンドンプレスとグループ社は73店舗あった直営書店を昨年すべて閉店し、直接営業に切り替えた。直営書店は全米に70人の担当者がおり、教会や個人に直接営業を行っている。
アビンドンプレスの収益の柱は、原価率20~25%の教科書である。国外で製作すれば費用は抑えられるが、重版に時間がかかるほか、品質管理が難しい。電子書籍が売上に占める比率は20%以下。製作コストはむしろ電子書籍のほうが高いという。
日本と比較すると市場規模ははるかに大きいものの、共通する課題も多い。参加者からは、印税率や編集者1人当たりの年間製作点数など、多くの質問が寄せられた。
天路歴程-天の都を目ざして
聖書に次ぎ、世界で最も多く読まれている旅物語
大切な人へのプレゼントに!
世界中で読まれてきた不朽の名作『天路歴程』がさらに読みやすくなりました。
聖書とともに読み継がれている『天路歴程』には、子ども向けのリテリング(再話)もまた、多くの人々によって試みられました。ルーシー・エイキン(1781~1864年)という、学者一家に生まれ育ったイギリス女性は、専門の伝記物や翻訳など以外の分野では、メアリー・ゴドルフィンというペンネームを使いました。本書もまた彼女が「わかりやすいことばで」(In Words of One Syllable)と名づけた再話シリーズの一冊として、死後1869年に出版されました。ゴドルフィンは(登場人物の名前と地名以外は)文字どおりすべて一音節の短い単語で簡潔に物語を書き進め、繰り返しや長々しい議論を省いて約五分の一に縮めましたが、書き直したとは思えないくらい、原作の文体をうまく保っており、そうすることによって、原作自体の長く親しまれた秘密が、その平易な語り口にあったということを、よりいっそう納得させる結果となっています。それゆえ本書によって力づけられた読者は必ず、バニヤンの原作に向かいたいという願いを持つことになります。
その後、このゴドルフィン版は挿絵の異なるいろいろな版で出版されたようですが、1939年にアメリカのロバート・ローソン(1892~1957年)が自分の挿絵を添えて新たに出版したものが、この日本語版の原本となっています。
(「あとがき」より)
クリスチャンが十字架の前にたどり着いたその瞬間に、
いままでずっと背負ってきた重荷が背中からすべり落ち、
墓穴に転がり込んで見えなくなってしまった。
(本文より)
【画像】 教会に遺贈のムーヴメントを 中井幸夫(税理士・行政書士) 2014年12月25日
ファイナンシャルプランナーとしてクリスチャンのライフサイクルに携わってきた経験から、教会員の激減が予測される窮状を打開できるのは「遺贈」の文化だと訴える中井幸夫さん。その思いを綴ってもらった。
■日本教会の危機 福音・宣教が急務
日本のキリスト教は教会員の高齢化が進んでいます。一般的な試算では、2020年に教会員の葬儀がピークを迎えるとされています。教会員の「健康寿命」はその数年前にピークを迎えます。つまり、もうすでに、教会の中の大多数を占めるご高齢の方々が教会に通えなくなってきているということです。
例えば、現住陪餐会員が100人の教会であれば、5年後には60人に減り、10年後には40人に減ります。教会員の減少に伴い、献金額も激減します。年間経常献金収入が1千万円だった教会が、5年後には700万円、10年後には500万円に減っていきます。
赤字になり教会を維持できなくなった場合、まず、特別会計を取り崩すでしょう。そしてさらには土地の一部売却などで一時しのぎするかもしれません。また、教会の統廃合を行うことになるかもしれません。このように、日本の教会は近い将来危機的状況を迎えます。
これを防ぐためには、まず何より福音・宣教を最重要課題として取り組む必要があります。でも、残念ながら、思うように宣教の効果が表れないのが現状です。ただ、教会員が減少し、教会が財政的に弱体化すれば、宣教はますます弱まりまるという悪循環に陥ります。
【画像】 きょうこちゃんに心臓移植を 教会でも支援 献金募る 2014年12月25日
「拡張型心筋症」という重い心臓病を患い、人工補助心臓を付ける手術を受けるなどして闘病生活を送っている三輪響子さん(11)=千葉県松戸市=の両親と支援団体「きょうこちゃんを救う会」(中鉢慎代表)が、米国コロンビア大学で心臓移植手術を受けるため、2億3千万円を目標に募金を呼びかけている。
同会には小学校の保護者やNPO法人「日本移植支援協会」なども加わり、10月下旬から街頭などでの募金活動を展開。11月29日には、響子さんが通う同市松戸の市立中部小学校で「チャリティーフェスタ」が開かれ、地元の野菜や手作り小物の販売、ライブやマジックショーなどによる収益金から寄付が寄せられた。
キリスト教関係では、私立サレジオ学院、同学院父親聖書研究会、女子学院花みずき会、関東学院大学体育会ヨット部OB会、日基教団新松戸幸谷教会(吉田好里牧師)などが支援団体として名を連ねているほか、松戸市内外の関係教会でも献金を呼びかけている。
1991年、サレジオ会を母体とするドン・ボスコ海外青年ボランティアグループ(DBVG)から初めて東ティモールに派遣された青年の中に、父親の慎平さんがいたというつながりもあり、DBVGの若者たちが先輩を援助したいと、12月21日午後1時からカトリック調布教会(東京都調布市)でクリスマス・チャリティーコンサートを計画。イエスのカリタス修道女会「スモールクワイア」らが出演し、歌声を披露する予定になっている(「きょうこちゃんを救う会」事務局協賛、カトリック調布教会後援)。
募金の送り先は以下。
◆三菱東京UFJ銀行松戸支店・普通 0248527◆三井住友銀行松戸支店・普通 7341595◆千葉銀行松戸支店・普通 4191054 ◆ゆうちょ銀行〇一九店・当座 0695868◆ゆうちょ銀行00190‐7‐695868(現金振込、ゆうちょからゆうちょの場合)。名義はいずれも「きょうこちゃんを救う会」。詳細は同会事務局(℡047・712・1160=平日10時~15時、ホームページhttp://kyoko-chan.jp)まで。
【画像】 並木浩一著作集完結でシンポ 教え子ら「知性の姿」浮き彫りに 2014年12月25日
2013年から14年にかけて刊行された『並木浩一著作集』(日本キリスト教団出版局)全3巻の完結を記念するシンポジウムが11月28日、日基教団中渋谷教会(渋谷区桜丘町)で開催された(同実行委員会主催)。並木氏本人と直接間接に指導を受けた教え子らを含む約120人が集い、会場は熱気に包まれた。
並木氏はヨブ記研究などで知られる、日本を代表する旧約学者の1人。1964年から40年余にわたり国際基督教大学で教鞭をとったほか、東京神学大学でも非常勤講師を務めてきた。
シンポジウムで登壇したのは、同氏と深いゆかりのある4氏。永野茂洋氏(明治学院大学教授)による司会のもと、小友聡氏(東京神学大学教授)は「旧約学者としての並木浩一」を、森本あんり氏(国際基督教大学教授)は「教師としての並木浩一」を、高橋一氏(日本基督教団教師)は「信仰者としての並木浩一」を、奥泉光氏(小説家)は「表現者としての並木浩一」を論じた。
小友氏は、聖書テキストに分け入り、テキストの奥にある人間の営みを浮き彫りにする並木氏の独創的な旧約学を、「想像力」などのキーワードをもとに明らかにした。森本氏は、自身の手紙や論文などを並木氏が丁寧に保管していたことを後になって知り、ずっと氏の見守りのうちにあったのだと知らされた経験を披露。高橋氏は、並木氏の信仰の特徴として、「ものを考えること」を信仰との関連で排除しないという点を挙げ、懐疑と信仰という一見矛盾する要素が氏の中に存在し、その学問と信仰を形成してきたことを述べた。奥泉氏は、並木氏は人文学・社会科学を網羅する広範な学びを重ねつつも、旧約聖書学という自らの専門領域に自己限定し続けたこと、また氏の学問的表現の基礎にある詩人的直感力に言及した。
担当編集者は、「各発題が浮き彫りにしたのは、並木浩一という大きな知性の姿。その格闘の軌跡が今回の著作集であり、後に続く者として、多くを学ばせていただきたいとの思いを与えられた」と振り返った。
【画像】 〝いのちの尊厳〟確立するために 聖学院大と韓国・長老会神学大がシンポ 2014年12月25日
東日本大震災と原発事故、また韓国の旅客船セウォル号沈没事故を受けて、「いのちの尊厳の確立」が日韓両国にとって緊要の課題であるとして、聖学院大学(埼玉県上尾市、姜尚中学長)は、同学提携校の韓国・長老会神学大学校より尹哲昊(ユン・チョルホ)教授=写真右=と、朴成奎(パク・ソンギュ)助教授=同左=を招き、日韓神学シンポジウム「いのちの尊厳の確立」を11月7日に開催した。100人が参加した。
セッションⅠでは、窪寺俊之氏(聖学院大学大学院教授)が「傷付いた魂へのスピリチュアルケア」と題して講演し、尹氏がコメントを述べた。
窪寺氏は、東日本大震災の被災地で日本の宗教者が立場を超えて働きを共にしていることは、「宗教家によるケア」であって「宗教的ケア」とは異なると指摘。「宗教家の祈祷や読経によって、亡くなった人はこの世からあの世に移ることができたと実感できて、生き残った人の悲しみが鎮まった」とし、宗教家の存在の意義を強調した。
その上で、「大震災、津波、原発事故は既存の価値観や世界観を破壊したので、人は新しい人生の土台をスピリチュアルなものに求めた」と解説。スピリチュアルケアとは、「宗教的教理や制度を超えて、痛んでいる人に寄り添い、その人のスピリチュアリティ(人生の基盤)を支えながら、一歩ずつ進むこと」だとして、宗教的ケアとの違いを明らかにした。
さらに、スピリチュアルケアによる癒しのわざは、「分裂や対立、憎しみと暴力、紛争と戦争の悲劇を作り替えて、理解と和解、協力と助け合いという再生の物語を生み出す」と述べ、「より広い視野と世界観に立つ、平和を創り出す可能性をスピリチュアリティの中に見ることができる」と語った。
尹氏は、人間の「霊的癒し(スピリチュアルケア)」は人間の罪の悔い改めと神による罪の赦しから来るとし、震災や津波などの災難により苦しみを受けている人々への霊的な癒しも、「神の霊にあって神の霊を通してのみ可能となる」と主張。また、キリスト者が行う霊的ケアは宗派的な宗教的治療となる必要はないとしつつ、「彼らを神との関係において導く必要がある」と強調。「われわれはすべて『癒された癒し人』として他の人の傷や苦しみを治療する働きへと召されている」と述べた。さらに霊的癒しの原理は共感的愛だとして、「聖霊の力が共感的愛において隣人の苦しみと悲しみを共にするわれわれを通して現れるところに、霊的癒しと救いの働きが起こる」と応答した。
これを受けて窪寺氏は、スピリチュアリティには、特殊性(キリスト教のスピリチュアリティ)と普遍性(すべての宗教を含む神秘的世界)があるとし、尹氏の指摘は前者であるとして賛同しつつも、これを強調すると相手を排除することになると指摘。後者の意味で理解することによって、「お互いの相違や壁を取り除いて、一致点を見つけることができるのではないか」と意見を述べた。
【画像】 カトリック・聖公会・福音ルーテル 日本で初の合同礼拝開催 第二バチカン公会議「エキュメニズム教令」50年記念 2014年12月25日
第二バチカン公会議で採択された「エキュメニズムに関する教令」が1964年に発布されてから今年で50年。これを記念して、「いつくしみと愛のあるところ」をテーマに、日本のカトリック教会、日本聖公会、日本福音ルーテル教会の3教会による初めての合同礼拝が11月30日、カトリック東京カテドラル関口教会(東京都文京区)で行われた。各教会から教職・信徒など約630人が参集した。
第一部のシンポジウム「『エキュメニズム教令』50年の実り」では、江藤直純氏(日本福音ルーテル教会牧師、ルーテル学院大学学長)の司会のもと、光延一郎(イエズス会司祭、上智大学神学部長)、西原廉太(日本聖公会司祭、立教大学副総長)、石居基夫(日本福音ルーテル教会牧師、日本ルーテル神学校校長)の3氏が発題した。
「第二バチカン公会議とローマ・カトリック教会のエキュメニズム」と題して発題した光延氏は、第二バチカン公会議の根本動機は、①教会の一致(エキュメニズム)、②平和(二度と戦争をしない)、③ローマ・カトリック教会が自らを開き「世界」とかかわること――の3点であるとし、これに応じて同公会議で四つの憲章、九つの教令、三つの宣言が出されたことを紹介。教令の一つである「エキュメニズムに関する教令」は、「相手を理解するより『断罪』しようとする姿勢が先行した過去の失敗を反省し、キリストの福音にいっそう忠実な教会の形成に向かって踏み出す決意を示し」たものだと解説した。
その上で、エキュメニズムの目標達成に向かう対話のプロセス例として、①過去の争いについての悔い改めと過ちの告白、②それぞれが受け継いできた信仰理解、すなわち神学の相違について共同で理解する、③共同的神学理解における共通点を探す、④キリスト教の根本真理から見直して、相互の立場を吟味する、⑤相違を乗り越えて、一致に向かう具体的な歩みに共同で踏み出す――という5点を示した。
最後に個人的見解として、「日本という国は、遠いヨーロッパからキリスト教が伝わってきた、ある意味〝末端〟」であり、教派間の争いがなく、「一致協力も非常にやりやすい場ではないか」と主張した。
【画像】 伝道宣隊キョウカイジャーの作戦会議(クリスマス) 2014年12月25日
2014年のイースターにさっそうと現れた5人のニューヒーロー「伝道宣隊キョウカイジャー」。牧師という仮の姿を借りて、「神の国」の到来に向け宣教活動を遂行する特務機関だ。クリスマスを前に、彼らの指揮をとる〝総督〟からの指令によって、初めて一堂に会した5人は、ひと足早いクリスマスパーティー......もとい、作戦会議を都内某所で決行した。この世の牧師として各地で奮闘するキョウカイジャーたちの、しばしの密談を特別に紙上公開する。
「モンクリ」との戦い 牧師はつらいよ
総督 日々の戦いご苦労。次々と迫り来る敵を相手に、今年もよくがんばってくれた。今宵、5人に集まってもらったのは他でもない。これまでのキョウカイジャーとしての戦績を振り返り、直面する課題を互いに共有するのが今日の任務だ。
ブラック また会議かよ! 昨日も教会で役員会だったんだぜ。
グリーン 出た。和を乱すアウトロー的発言。リーダー、なんか言ってやって。
レッド いやー、ブラックにはお礼を言わなきゃ。
ブルー 何かありました?
レッド 実は先週、うつ病と診断されかねないレベルまで落ちていて。
イエロー 体育会系なのに......意外。
レッド まさにブラックが指摘していた「モンクリ」(モンスタークリスチャン)ってやつ。長く牧会していた前任牧師の信奉者で、決して悪い人じゃないんだけど、まったく自己批判のできない性格で、その周囲にトラブルが絶えなかった。たとえ理不尽な争いでも仲裁に入って解決するという役割を担ってきたわけだけど、フードバトルで言えば、もうこれ以上食べられないという状態が続いて、ついに吐いちゃったという感じ。牧師って、受け止めきれないことを自分のせいにして追い込んじゃうから。ブラックのあの回は身に染みたね。
ブラック いいヤツじゃん、俺(笑)。
【画像】 燦葉出版社40周年 『聖務日課――神学歳時記』4分冊刊行 信仰の養いに資する本を 鈴木和男さん 2014年12月25日
キリスト教書を中心に、400点以上の書籍を出版してきた燦葉出版社が、今年で創業40周年を迎えた。同社はこれを記念して、9月末までの1年間に『あなたもお読みでしたか...日々の聖句(ローズンゲン)による366日の聖務日課――神学歳時記』シリーズを4冊立て続けに刊行するという離れ業を成し遂げた。社長の白井隆之さんを支え続け、本シリーズの編訳を担った鈴木和男さん(日基教団隠退牧師)に話をうかがった。
ローズンゲンはドイツ語で「くじ」「合い言葉」を表す「ローズング」の複数形で、1720年初めに創設されたキリスト教共同体において、その日1日を信仰深く生きるために始められた「合言葉」が起源。やがてそれが1年分にまとめた冊子となり、国内にとどまらず広く海外でも愛用され、これまで280を超えて版を重ねている。ドイツ語圏では毎年100万部以上発行され、ドイツ語以外でも50以上の言語に翻訳されている。
これを『日々の聖句』として日本に紹介したのは、社会福祉法人ペデスダ奉仕女母の家で理事長を務めた牧師の深津文雄さん。日本語版は日毎に旧約と新約の聖句が載っているシンプルなもの。今回、深津さんの願いもあってその折々にふさわしい祈りと黙想、「神学歳時記」が加わり、毎日見開き2ページで信仰の養いに資するよう工夫が施された。
【画像】 京都 「天空居酒屋きりえ」に住む人々 住居をシェアして神に酔う? 2014年12月25日
京都市左京区の閑静な住宅街に、奇妙な表札を掲げた一軒家がある。「天空居酒屋きりえ」。クリスチャン男子学生ら5人が住むシェアハウスだ。プライバシーが最優先される時代に、あえて住空間を共有しようと集ってきた住人らに話を聞いた。
居酒屋とあるが、禁酒禁煙5LDKの間取りで各自が6畳から8畳の一人部屋を持ちつつ、台所・風呂など水回りを共有する。
2011年9月、英国留学を終えた岡田勇督さん(京都大学・文学研究科)は渡英中に声をかけられた友人とともにシェアハウスを始めた。せっかくなのでと、友人伝いで募集をしたところ、同志社大学からの学生も加わり、クリスチャン学生計5人での共同生活が始まった。
当初、半年続けばよいと思っていたが、就職や結婚によるメンバーの入れ替わりもありつつ、先月、シェアハウスは3周年を迎えた。岡田さんが通う教会では「岡田ハウス」と呼ばれ、教会でもなじみのある光景となっている。
就職でシェアハウスを卒業した柳澤信也さん(会社員)は「互いに出身や専攻分野、趣味も出席教会も違う皆と暮らすことで、視野が広がった」と語る。
確かに、シェアハウス・メンバーの専攻と研究テーマは多岐にわたる。宗教学、哲学、工学、数学、農学、国際政治学と総合大学さながらの幅広さだ。その幅を示すかのように、居間の書棚には各分野の専門書や文学作品が無造作に並ぶ。
若者らしく、漫画やライトノベルもある。たとえば「侵略イカ娘」の横にカールバルト「ロマ書講解」の原書が並ぶ。聖書原典、各日本語訳と各種英訳はもとより、インドネシア語、タイ語、中国語、イタリア語、ドイツ語、フランス語などの各国語の聖書が置いてある。
書棚から目を移せば、壁には共益費で買ったという180㌢×90㌢の業務用ホワイトボードが目立つ。毎週、読書会やヘブライ語・ドイツ語の講読会、教会史の勉強会が開かれている。
掃除やゴミ出しなど家事の分担は、当初、当番表を作っていたが、週ごとの交代制がなじまず、今では気付いた者が分担する。厳しい規律ある男子寮という趣ではなく、肩の力を抜いた自然で自由な若者たちが集まる学寮の姿がそこにある。
「天空居酒屋きりえ」という名前は、皆で話し合った結果だ。酒に酔うのではなく神に酔え、という意味を込めつつ、ギリシア語の「キリエ・エレイソン(主よ、憐れみたまえ)」から名付けた。名前の通り、食卓での会話は聖書に哲学、社会・政治問題、日常のさまざまな事柄へと縦横無尽に及ぶ。
都市部を中心に、人と人のつながりが希薄になったと言われて久しい。東日本大震災を経て、改めて社会の連帯が問われている。相対的貧困、地域格差の拡大、孤独死など問題は山積している。しかし「ゆとり世代」と呼ばれる若者たちが静かに動き出している。余裕のない中高年や高齢者には見えない柔軟な発想が、社会全体の「ゆとり」を生み出すかもしれない。
「人は一人で生きていくようにできていないと思う。シェアハウスを通して、無理せずに人と関わり、その関係が、さらに新しい人間関係を作ってくれた」と岡田さんは言う。
関係が関係を呼び起こしていく「ゆとり」の共同体性が、山積する問題への新しい解決策となるかもしれない。
【画像】 沈黙から和解の福音へ 「テゼ共同体」のブラザー迎え懇談会 2014年12月25日
テゼ共同体のブラザー・ギランを招いた懇談会が11月28日、日基教団神戸栄光教会(神戸市中央区)で行われた。日基教団、ルター派、聖公会、バプテスト、カトリックと幅広い教派から、特に若者への宣教に携わる約20人の司祭、牧師、チャプレンらが集った。打樋啓史(関西学院大学教授・宗教主事)、中道基夫(同大教授)の両氏が呼びかけ人となり、打樋氏が通訳を務めた。
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テゼ共同体はフランスのエキュメニカルな男子修道会で、すでに30年以上前から毎年、修道会よりギラン氏が派遣され、日本の諸教会との関係を深めてきた。また設立以来、全世界の若者(20代までの青少年)の渇きに答えるべく、目に見える和解のしるしであることを目指してきた。
懇談会は今の若者が何を求めているのか、何に渇いているのか、というギラン氏の問いかけに答える形で始まった。テゼ共同体での滞在を経験した参加者は、「テゼにあって日本の教会にないものは沈黙だと思います。若者は、すっと沈黙に入ることができるが、年配者が沈黙することが難しい」と語る。若者の教会離れ、超高齢化社会を迎えた日本ならではの、現場に密着した声だ。
「若者を教えるのではなく、若者の表現に傾聴する存在となることが、われわれ大人に求められていることではないでしょうか」。ギラン氏の答えに会場が頷いた。
仕事や学校、それぞれに忙しくしているとわたしたちは沈黙の価値を忘れてしまう。しかし、沈黙することで、内なる畏れに気付いていく。ただ神のみ前に沈黙する時にこそ、自らの存在の本質と向き合うことができる、とギラン氏は語った。
懇談会は、単純素朴で、しかし美しい旋律のテゼの賛美が会場を包んで幕を下ろした。
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テゼ共同体はプロテスタント出身のブラザー・ロジェによって創始された共同体。初期キリスト教の伝統に深く根差して詩篇を歌う一方で同時に多様な言語と文化と伝統を持つ若者たちが共有できる典礼様式を発展させてきた。
現在、プロテスタントとカトリックの修道士たちが約100人、世界各国から集まり祈りと労働の日々を過ごしている。過去には、ローマ教皇の訪問を受け、正教学者のオリヴィエ・クレマンや哲学者ポール・リクールが滞在した。また毎年何万人という若者がテゼでの黙想を目的に訪れている。
日本との関わりも深い。JOCS(日本キリスト教海外医療協力会)とは、バングラデシュにおける少数民族の教育支援を行っている。また知的障がい者と共に歩むラルシュとも協力関係にある。あらゆる垣根を越えて「常に福音の核心に目を注ぎ、一歩一歩、バランスと冒険を引き寄せながら歩き続ける」様子は、「小さくされている人々と一緒に福音の譬え話を紡ぎ出」している(黙想と祈りの集い準備会 編『テゼ Taize' 巡礼者の覚書』一麦出版社)。
来年テゼ共同体は、創立75周年を迎える。テゼ共同体が沈黙の中から見出し体現してきた和解の福音の光が、今、静かに日本の諸教会に灯りつつある。
【画像】 指揮者・小口浩司氏インタビュー キリスト教合唱音楽の喜びと信仰伝える 来年3月に東京・長崎で演奏会 2014年12月25日
キリスト教合唱音楽の分野で活躍する指揮者・小口浩司氏が、来春150周年を迎える「日本の信徒発見」を記念して、来年3月、長崎・大浦天主堂と東京オペラシティリサイタルホール(新宿区)で演奏会を開く。1865年3月17日、長崎で浦上の潜伏キリシタンが大浦天主堂のベルナール・プチジャン神父に信仰を告白した。その出来事を再確認して信仰の原点に立ち返るために、音楽を通して黙想するひと時をもつことになった。カトリック信徒でもある小口氏は、「神様につかっていただくことは喜び」という。長崎にかける想いを聞いた。
今年3月に私の合唱指揮活動10周年記念演奏会を終えたのですが(本紙5月24日付参照)、これから何をやっていくかと考えたとき、信徒発見150周年という節目は、長崎の「ご当地」の話で、なかなか一般の方々には知られていません。
東京で演奏するのが四旬節の黙想の時期であるのと同時に、ずっと昔から流れているキリスト信仰の今の形を音楽で伝えることが私の仕事だと思い、企画がスタートしました。そうしたときに、長崎の高見大司教様から面会をいただく機会があり、本企画のきっかけになったのです。
最近は長崎の教会群を世界遺産にという話題が目立ちますが、地元の信者にとって教会は世界遺産云々ということではなくて、自分たちの神様の家なのです。教会の数は膨大です。少ない信徒の数で、数軒の信徒で一教会堂を維持しなくてはならない。なかにはローンを組み、莫大な費用をかけてでも教会堂を守り、信仰を守り継いでいるところもある。
私が長崎を巡礼し、地元の人たちのそうした現状を知っていくなかで、自分自身が長崎の地のために何かできることはないだろうかと考えました。やはり私は音楽の人間なので、それを通して活動するなかで集めた収益を長崎の今後の発展のために、少しでも福音宣教のために、用いられたら喜びだなと思いました。
これまでは「長崎の信徒発見」でしたが、ローマにも申請され、これからは「日本の信徒発見」となります(「日本の信徒発見の聖母の祝日」として認可)。それは長崎のことなのですが、日本全体において重要な出来事であったということなのです。今回の演奏会は、カトリック長崎大司教区としても後援をしていただくことになった。私の背中を押してくださる神様の導きがピタッと合わさった。多くの方のお導きによって、私の考えていた小さな思いが、大きなビジョンに変わってきたことを嬉しく思います。
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演奏会では前回も出演した「アンサンブル・クワイヤー・スペラ」(男声聖歌隊)のメンバーが歌います。私との音楽作りの経験が一番長いことと、何よりも先入観なしで音楽を通して自然に神様を見るということができていること。やっぱり教育ってすごいなと思うのですが、頭で考えて理解することももちろん必要ですが、私が小さい頃から教会の中で体験的に神様とかかわってきたことと同じように、礼拝、音楽を通して奉仕し、そこに何の迷いもなくただ単に一点だけを観ていくことが大切だと思います。
自分たちが活動していくなかで、欲も出てくるのは当然です。しかしそんなことを抜きにして、純粋に音楽を楽しみ、その音楽と信仰を人に伝えることを自分たちの使命だと思いたいと考えています。
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演奏会では、『典礼聖歌』や『カトリック聖歌集』からさまざまな曲目を選ぶ予定ですが、「日本の信徒発見の聖母」なので、まずは日本の中で大事にされてきているものを取り上げたいと考えています。
信徒発見という出来事があった当時の典礼は、ラテン語でなされていました。私が2年前の3月17日に大浦天主堂でミサに与ったとき、ミサ曲はラテン語だったのです。日本語のものもやっていました。隣に座っていた外国の信徒は日本語の歌は歌えないが、ラテン語のミサ曲は一緒に歌っていました。
第二バチカン公会議以後、各国の言葉を大事にするということになっていますが、教会の公用語としてラテン語を捨ててはならないとする部分はまだありますし、そこで培われてきた伝統作品も大切にする必要があります。四旬節の時期に相応しいものと、そして、信徒発見の聖母ですから、マリア様を題材とするラテン語の作品も演奏したいと思います。
日本のカトリック教会は『典礼聖歌』を中心にやっていますが、『典礼聖歌』の前に『カトリック聖歌集』があります。『カトリック聖歌集』は典礼のなかで歌われることは少なくなってきましたが、それらは文語体で、先人が大事にしてきた日本語の聖歌ですから大切にせねばなりません。
『典礼聖歌』も自然にミサで歌っているものですが、改めて芸術的な観点からスポットを当てることによって、その楽曲の本質をもう一度皆さんに確認していただきたい。普段は歌うことによって〝アウトプット〟しているものですが、聞くという〝インプット〟する作業をすることは、ある意味「黙想」だと思います。
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また『典礼聖歌』にも『カトリック聖歌集』にもラテン語の作品にもない部分――私が長崎の地で感じているもの――を取り上げたいと思います。
「信徒発見」を考えたときに、ただ単に150年前のことだけを思考するのではなく、もっとそれ以前から歴史が繋がっているわけで、その原点となったのが豊臣秀吉です。当時「26聖人の殉教」が起こり、それ以後、江戸の時代にも人々は迫害のなかで信仰生活を送ってきました。
歴史の教科書では、それこそ踏み絵を踏まされたとか、部分的にわずかしか書かれていない。本当の意味で日本人がどういう状況下で信仰を守り継いできたのか、日本人でありながらあまり知らないのが実情だと思います。
殉教した人もそうですが、なかには踏み絵を踏んだけれども、心の奥底にあるかすかな希望を守り継いだ多くの人たちがいたわけです。そこで、信仰の深い部分を音楽の形で表現できる方法はないだろうかと考えました。そのときにパッと思い浮かんだのは、26聖人の殉教地でした。その場所とされる長崎市の西坂公園に行きますと、レリーフが建っているのですが、ラテン語で、〝Laudate Dominum omnes gentes〟とあります。それは「すべての国よ、主を讃えよ」という神様を讃える大きな賛歌ですが、そこであらためて、「殉教は讃えること」だという考え方に感動を覚えました。あのレリーフの前に立つと、いつもすごく大きな聖霊、ふぁーっとした喜びを感じるのです。
【画像】 事業功労者に村岡崇光氏 聖書協会クリスマス礼拝で講演 2015年1月24日
日本聖書協会(渡部信総主事)は12月11日、日基教団富士見町教会(東京都千代田区)で恒例のクリスマス礼拝と聖書事業功労者表彰式を行った。同賞は聖書普及に貢献した人物や団体に贈られるもので、2014年度は世界的なセム語学者の村岡崇光氏(オランダ・ライデン大学名誉教授)が選ばれ、この日のために来日した同氏が、「私のヴィア・ドロローサ――太平洋戦争の爪痕をアジアに訪ねて」と題する記念講演を行った。関係者ら約300人が集った。
村岡氏は1938年、広島生まれ。東京教育大学(現筑波大学)博士課程中退後、70年ヘブライ大学(イスラエル)で博士号を取得。マンチェスター大学(70~80年)、メルボルン大学(80~91年)で教鞭を取った。75年には同協会より「都留・スミス賞」を受賞。聖書ヘブライ語、現代ヘブライ語、シリア語、アラム語、エチオピア語、ウガリト語などに関する著書論文が多数ある。
今回の受賞は、2003年にライデン大学を退職した同氏が、アジア10カ国を自費で訪れ、無償による特別講義を通じてアジア地区の聖書翻訳に貢献したことを称えるもの。この働きは、侵略戦争の歴史に向き合い、口先だけの謝罪ではなく、悔い改めの思いを具体的な形にしたいとの願いから毎年継続してきた。このほど、戦争体験を持つ現地の人々との交流や、日本人として体験し考えたことを記録した『私のヴィア・ドロローサ――「大東亜戦争」の爪痕をアジアに訪ねて』(教文館)も刊行。「ヴィア・ドロローサ」は「悲しみの道」を意味するラテン語。
村岡氏は、出版にあたり「拙著は楽しい読み物ではないが、これをよすがとして愛する祖国の暗い部分をも直視し、考え、その施策に基づいて行動する勇気を持ってこそ日本人としての誇りを確かなものにできる、アジア、世界の人々に信頼される国になれるのではないか」とのコメントを寄せた。表彰式では、「今後も許される限り、アジア太平洋諸国での働きを続けたい」と意欲を見せた。
【画像】 「信徒の友」50年で感謝礼拝 姜尚中氏「ミッションに忠実に」 2015年1月24日
日本キリスト教団出版局が発行する雑誌「信徒の友」(吉岡光人編集長)が創刊50周年を迎えたことを受け、感謝礼拝と特別講演会が12月6日、日基教団富士見町教会(東京都千代田区)で開催され、読者や執筆者ら約300人が出席した。
感謝礼拝の説教で同誌編集委員大宮溥氏(日本聖書協会理事長)は、創刊の経緯を紹介した上で、伝道や証しの生活など信徒に課せられてきた使命について述べ、改めて教職者だけでなく信徒自身が学び、連帯し、応答していくことの必要性と、同誌の果たしてきた意義の大きさを訴えた。
マタイによる福音書から「平和を実現する人々は、幸いである」と題して講演した姜尚中氏(聖学院大学学長)は、この50年間の歴史を概観し「対立と断裂が走り、東アジアの中にも対立がある中で、戦後70年を迎えようとしている」と、富国強兵型の国家、同質性、地域・階層間格差にさいなまれる社会への懸念を表明。緊迫する日韓関係についても、「両国の指導者は、かつての独裁者のジュニアとして相対立しながら、互いに同じようなことをしている」と指摘した。「戦後憲法とは、膨大な犠牲を払って初めて得た神の福音と、深い愛のもとに作られた憲法である」「必ずや神の福音が与えられると信じながらも、来たるべき社会がどうなるかについては楽観視できない」と述べ、ドイツの社会学者M・ウェーバーの「にもかかわらず」の精神で「時代の要求に従いつつ、単に受け入れるのではなく、日々与えられたミッションに忠実に生きよう」と呼び掛けた。
同誌では50周年を記念し、教会を応援するための講師派遣も企画中。2015年内に開催する集会で、執筆者の派遣を奨励するというもの。問合せは、同誌創刊50周年記念企画係(℡03・3204・0421)まで。
【画像】 WCC総幹事も来日、講演 第4回9条世界宗教者会議で 2015年1月24日
「憲法9条と世界の平和――ナショナリズムをどう超えるか」を主題とする第4回9条世界宗教者会議が12月3~5日、YMACAアジア青少年センター(東京都千代田区)で開催され、世界15カ国45団体から約120人の宗教者が参加した。同会議は9条「アジア」宗教者会議として、2007年(東京)、09年(ソウル)、11年(沖縄)と開かれてきたが、海外からの幅広い参加者を反映するため「世界」宗教者会議と改称したもの。会議に先立ち、2日には横須賀海軍基地、米軍厚木基地、3日午前には靖国神社の見学が行われた。
3日からの本会議では、高橋哲哉氏(東京大学教授)による基調講演「右傾化する日本の歴史認識と憲法認識」に続き、WCC(世界教会協議会)総幹事のオラフ・トヴェイト氏が講演。沖縄キリスト教学院大学を休学して沖縄の現状を全国各地で訴えている知念優幸氏、ドイツ福音主義教会のフィリードヘルム・シュナイダー氏による発題が行われた。
翌4日には聖護院門跡門主の宮城泰年氏による講演、韓神大学校教授のイ・キホ氏、ミャンマーの仏教徒で福祉活動家のウ・ダマタラ氏、マレーシアの人権派指導者、チャンドラ・ムザファー氏による発題が行われた。
最終日に採択された共同声明は、安倍政権による憲法の再解釈に深い憂慮を示し、「地域全体を不安定にする危険な軍拡競争につながる」と懸念。「世界中のすべての人々が、狭いナショナリズムを乗り越え、憲法九条の精神にならって、戦争放棄、和解、平等、相互尊重、互恵の関係を築くよう期待」するとしている。また、具体的な行動提起として「若者にも関わってもらえるようにすること」「イスラム教徒が多数を占める国において、宗教者九条会議を主催する可能性を考慮すること」などを呼びかけた。
共同声明や講演、発題の内容は日本キリスト教協議会(NCC)のサイト(http://ncc-j.org/modules/pico2/)で閲覧することができる。
【画像】 秘密保護法施行で「牧師の会」が集会 ノンフィクション作家・田中伸尚氏が講演 2015年1月24日
特定秘密保護法に反対する牧師の会(朝岡勝・安海和宣共同代表)は、同法の施行を翌日に控えた12月9日、お茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で、記者会見と緊急集会「抵抗の時代を迎えて、私たちはどう生きるのか」を開催した。
記者会見であいさつした朝岡氏(日本同盟基督教団徳丸町キリスト教会牧師)は、牧師だった祖父が治安維持法違反で検挙された経験に触れ、「秘密保護法案が出された時は、頭で考えるより先に身体が拒否反応を示した」と発言。
続いて呼びかけ人の中から、川上直哉(仙台キリスト教連合世話人、被災支援ネットワーク・東北ヘルプ事務局長)、城倉啓(日本バプテスト連盟泉バプテスト教会牧師)、杉浦紀明(日本ホーリネス教団川越高階キリスト教会牧師)、星出卓也(日本長老教会西武柳沢キリスト教会牧師)の各氏が、牧師の立場から同法の廃止を訴えた。
続いて行われた緊急集会では、ノンフィクション作家の田中伸尚氏が「闇の中で光を──戦争国家化の中で」と題して講演し、約200人の参加者が耳を傾けた。田中氏は、同会に約560人の牧師が賛同していることを「決して小さくない」と評価。公務で殉職した自衛官の夫を、合祀してほしくないと国に訴えたキリスト者の妻・中谷康子さんや、指紋押捺を拒否した在日韓国人の崔昌華牧師の闘いを通じて、「単独者」として抵抗することの意味を学んだという田中氏。抵抗の継続こそが「闇の中での光」であり、「後に続く者を信じて」決して諦めないことが重要と呼び掛けた。
講演に続き山口陽一氏(東京基督教大学教授)は、「キリスト教の信仰、神を愛し人を愛することに徹しよう」と提起し、「祈りこそが真の抵抗になる」と応答した。
集会で発表された「声明」は、「抵抗の時代を迎えている今、信仰と良心に基づく生き方を主体的に選び取っていくこと」を宣言している。